芹生峠(せりょうとうげ)をご紹介いたします!
貴船神社奥宮のさらに奥、それまでの厳かな雰囲気から一変して裏道山道激坂道へ。前半にややゆるめの箇所があるだけですぐに急勾配へ移行し、後半は15~20%の激坂に。加えてガタガタに荒れた路面と散乱した砂利が数字以上に体力を奪う。眺望のご褒美は一切なし。京都市内屈指の腹立つ峠道。
注)当記事内における勾配表記は、一部を除いて筆者の体感によるものであり、実計測値ではございません。
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芹生峠 スペック&解説
南側
距離:3.2km
最大標高差:357m
平均勾配:11.1%
最大勾配:20%以上
貴船神社の一番奥、奥宮へと続く参道沿いに進み、ちょうど奥宮へ差し掛かったあたりに小さな橋があります。
その橋を渡ったところから芹生峠の南側スタートです。
スタート直後だけ若干厳かな雰囲気が残っていますが、その後すぐに山道へ突入します。
スタートから少し進むと浄水場があり、ここを通過すると一気に勾配が上がっていきます。
画像でも道の奥がグイッと登っているのが分かりますね。
浄水場を通過すると一気に勾配10%以上の急坂になります。
加えて、砂利や枝などの堆積物と凸凹した路面が早速お出ましです。
この先、峠までこのくらいの荒れ具合は当たり前です。
スタート直後の急坂を登ると一旦落着き、すぐまた登り始めます。
最初のヘアピン前後もかなりキツイ勾配です。
芹生峠南側にはこのようなヘアピンがいくつかありますが、
ヘアピン前後の勾配が非常にきつく、
コーナーの先を見ると自分がいるところからかなり高い位置へガードレールが伸びていて、
視覚的大ダメージも与えてきます。
強い心が必要です。
唯一存在するほんのわずかな下りポイント。
この先はもちろん登りっぱなしです。
ちょっとでも勢いを付けて惰性で登りたく思えるかもしれませんが、
実際は「少しでも脚を休ませたい」という気持ちの圧勝です。
中間地点である最初のつづら折れ手前の激坂です。
15%以上の急坂が続き、標識手前で20%以上あるかもしれません。
荒れた路面と相まって、前半の最難関箇所と言ってよいでしょう。
標識を越えると少し勾配が落ち着くのでそこまでが勝負です。
スタートからおよそ1.6km、中間地点である最初のつづら折れです。
つづら折れ中も相変わらず路面は最悪ですが、勾配はゆるみます。
ここで少しでも呼吸を整えるように努めましょう。
登ってきた方を見てみると、途中からストンと落ちて道が見えなくなっています。
それほど強烈な勾配だったということです。
最初のつづら折れから300mほど進むと次のつづら折れに差し掛かります。
たったの300mですが、かなりの急勾配と最悪な路面のせいでなかなか先へ進みません。
やはりこちらもつづら折れ中は勾配がゆるみますので、ここぞとばかりに休みましょう。
ここから先はこのような平坦部分は存在しません。
悪路は輪をかけ、勾配は上がる一方です。
つづら折れから直線へ向く前に覚悟を決めておきましょう。
つづら折れから400mほど先の小橋のやや手前、20%以上ありそうなものすごい勾配です。
非常にきついですが、それでも何とか頑張って道の少し先を見ながら登りましょう。
先の路面を見ながら進むことで比較的荒れ具合のマシなラインを通っていくことができます。
後半最初のヘアピン前後もほとんど勾配はゆるみません。
折り返した先がはるか上方へ伸びていくのが見えて視覚的大ダメージを食らいます。
ただ歩くだけでも息が上がります。
次のヘアピンまでもほとんどゆるまず進みます。
祠がおよそ2.9km地点ですから、峠まで残り300mほどです。
祠の目の前付近だけ少し勾配がゆるみます。
祠のヘアピンを通過して、次の右カーブを回って少し先までもかなりの勾配です。
峠道も終盤ですから、よろけて谷底へ落っこちないように気を付けてください。
最後のヘアピンを通過したら峠は目の前です。
しかし、峠直前も20%ほどありそうなすさまじい坂になっています。
最後の最後まで本当に厳しい峠道です。
芹生峠です。お疲れ様でした。
右手側に白い立て看板があり「芹生峠」と表記があります。
峠前後は道が広く開けています。
北側
距離:9.6km
最大標高差:954m
平均勾配:3.6%
最大勾配:13%
国道477号線との接合地点で、府道361号線の起点となるのが芹生峠北側の入り口です。
この地点から見て477号を東へ行くと花背・広河原方面、西へ行くと京北町です。
しばらく進むと反対車線の山側に山水の給水ポイントがあります。
序盤はゆったりゆったり登っていきます。
スタートからおよそ2.9km進んだあたりの、太神神社へと渡る赤い橋です。
この周辺には民家もあります。
まだまだ平坦に近いような登りが続きます。路面も良好です。
およそ4km地点の「灰屋林道竣功記念碑」です。
コーナーの崖側に立っています。
このへんまで来るとすっかり山道です。
序盤に比べると道幅が狭くアップダウンがつくようになって、峠道らしくなってきます。
およそ4.9km地点の浄水場です。
このへんでやっと半分くらいです。
細かなアップダウンを繰り返しながら少しずつ登っていきます。
このアップダウンのおかげで“長距離ながらもゆるい勾配”というダラけそうな要素がなんとなく薄まります。
およそ8km地点の「芹生の里」です。
正式には「芹生山荘・掬水庵(きくすいあん)」というようですね。
いつ訪れても庭園が綺麗で荒れていません。定期的に手入れされているようです。
こちらは桜が美しいことでも有名で、なんでも本州で最も遅い桜(4月下旬頃満開)を楽しめるらしいですよ。
芹生の里の少し先、寺子屋橋です。
スタートからここまで同じような短い橋がいくつもありますが、芹生峠北側における橋はこれが最後です。
ゆったり登りながらアップダウンを繰り返してきましたが、寺子屋橋から先はアップのみになります。
橋を渡ってコーナーを左へ回った直後に10%を超える急坂が現れます。
路面にコンクリートがところどころ混ざっているように見えて、百井峠を彷彿とさせますが状態はそこまで酷くはありません。
急坂の距離は非常に短いので一気に登ってしまいましょう。
急坂を登りきる直前あたりにお地蔵様がおられます。
その後は峠直前まで4~5%程度のゆるい坂が続きます。
ゆるゆると登っていき峠直前でグッと勾配が上がりますが、瞬間的なものなのでここも一気に登ってしまいましょう。
青看板を通過し、左へ曲がったところが峠です。お疲れ様でした。
芹生峠 まとめ
難易度的にもネタ的にも、ヒルクライムとしては南側がメインとなります。
スタート地点へたどり着くまでにも結構登らされるという“京都の峠あるある”が芹生峠南側にもあてはまります。
貴船と鞍馬の分岐点からは基本的にずーっと登っていき、料亭・旅館が立ち並ぶあたりで10%前後のところもあります。
奥宮を通過してからは空気が一変し、序盤から悪路の雰囲気がプンプンと漂います。
比較的勾配がゆるいのは前半ですが、「きつい箇所が後半よりは少ない」というだけで、ピンポイントの勾配で言えば最初から非常に厳しいです。
“芹生峠”と検索すれば、どこもかしかも必ずその路面の悪さについて語られています。
これは勾配のキツイところほどより顕著で、もはや『穴』と言ってよいほどの凸凹具合です。
砂利や小枝などの堆積物も非常に多いので、細いタイヤで挑戦される方はパンクなどのトラブルにも注意が必要です。
全体を通して、序盤のわずかな区間を除いては休憩できるゆるい勾配が非常に少ないです。
ほとんどは悪路の急勾配で、歩いて進むことすらイヤになるほどです。
勾配がキツイのは気合でなんとかするしかありませんが、
路面の悪さにはちょっとした対処法があります。
それは『道のちょっと先の方を見ながら登ること』です。
辛くなるとどうしても視線が落ちて前輪付近しか視界に入ってこなくなりますが、そうすると自分のライン上に現れる凸凹をそのまま受け入れるしかなくなります。
視界に突然現れたデカい穴ぼこを避けるだけの余裕があればまだ良いですが、20%の激坂で穴ぼこだらけではおそらく困難極めます。
辛くても少し視線を上げて3mくらい前を見るようにするだけで随分と違います。
先々の荒れ具合が分かるので、できるだけ荒れの少ないラインへタイヤを通していくことができます。
路面状態によっては蛇行になるかもしれませんが、多少距離が伸びてもはるかに楽です。
自動車が通ることもありますが、その時は覚悟を決めて端っこで踏ん張るか、一旦降りてやり過ごしましょう。
崖側で降りる場合は、ガードレールが無い箇所もありますので十分に気を付けてください。
後ろから登ってくる車はたいがいエンジンが唸っているので、気付かなくて危ないということもないと思いますし、そもそもここはほとんど通りませんけどね。
一方北側ですが、
9km以上をゆるめの勾配で登り続けるとなるとダラけそうなイメージですが、
実際は細かいアップダウンが終盤まで続くので、意外と楽しめます。
北側だけを切り取ってみれば、初心者さんにもやさしい山道で、トレーニングにも悪くない峠道だと思います。
芹生の里の庭園も見どころで、春には桜、秋には紅葉を楽しめますので、それ目的で走ってみるのもよいでしょう。
しかし、登りきった後の貴船側へのダウンヒルがある限り、ここをオススメにするのははばかられますね。
貴船側へのダウンヒルは、本当に気を付けないと谷底へ滑り落ちます。